2007年12月16日日曜日

視覚障害・七飯の小沢さん 第2の自立へ 喫茶店を開店

視覚障害をもつ町本町一の小沢浩伸さん(46)がこのほど、自宅から二百メートルほど離れた住宅街に喫茶店「くつろ木」をオープンさせた。二十年近く家族と営んだ弁当店を昨年閉め、自立を目指して踏み出した二度目の起業。大好きなコーヒーを一から勉強して味を追求した。店名のとおり「人の輪をつなぎ、くつろげる空間を提供したい」と意欲を燃やしている。
 小沢さんは、先天性白内障を患い生後九カ月で両目の手術を受けた。視力は眼鏡をかけても左が○・一、右は色彩などがぼんやり分かる程度。距離感やバランス感覚が狂いがちで、新聞や本を読むにはルーペが手放せない。
 それでも函館盲学校、札幌の道高等盲学校を経て、函館短大などで栄養士と調理師の資格を取得。目の不自由な仲間たちが針灸(しんきゅう)師などの道に進む中、料理の世界で就職を目指したが、夢はかなわなかった。
 二十六歳のとき、家族と弁当店を始めた。厨房(ちゅうぼう)で十九年間、調理の腕を振るったが、両親が七十代の高齢となり、他社との競合も厳しくなったため昨年末で店をたたんだ。二度目の起業は「喫茶店なら家族に頼らず自立が目指せる。やってみよう」と決心した。
 コーヒーが好きで四十年近く飲んでいたが、入れ方の知識や接客は素人。今年六月、勉強のため、障害者を受け入れている函館市の喫茶店「珈琲物語」(桔梗五)の門をたたいた。
 店主は、偶然にも函館盲学校時代の恩師、中川カヅ子さん(64)。ほぼ三十年ぶりの再会だった。九月まで特別研修を受け、コーヒー豆の種類や特徴を覚え、ひき方、入れ方、接客の基本を何度も練習した。中川さんは「一生懸命に頑張る姿は昔のまま」と小沢さんの成長を見守り、十月三十日の「くつろ木」開店に導いた。
 計十七席の明るい店内には、コーヒーの香りが漂う。メニューにある四種類のコーヒーの中で、人気は四百円の「くつろ木ブレンド」。「酸味と苦みがバランス良く、飲みやすい。この味を自分の店で出したかった」。うどんとカレーも出す。住宅地の中の隠れ家的存在だが、所属する地元の混声合唱団の会員や、なじみの俳句会のお年寄りが心配し、常連になってくれた。
 小沢さんは「人のつながりがこの世のすべて。大切な人をおいしいコーヒーでもてなしたい」と話している。休みは日曜と第二、第四月曜。問い合わせは(電)0138・64・1136へ。

(北海道新聞より引用)

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